鎌倉苔化計画
苔の好む谷戸環境が豊富な地形、
苔が長年維持されてきた社寺、
苔の生しやすい鎌倉石、
緑の豊富に残る環境、
都心からほど近い場所にありながら苔を存分に楽しめる類稀な地、鎌倉。
鎌倉の苔の魅力をもっと広めていきたい。
鎌倉を「苔のまち」にするため、少しずつ活動を始めています。
本サイトには苔の見所のマップを作成、鎌倉を苔目線で歩く情報を更新していきます。
苔の美しいロケーションでは、定期的に「鎌倉こけ散歩」を開催し、地域の苔の魅力の発信に努めています。
鎌倉各所で行っている、苔庭の施工・管理。
拠点となる店舗では苔の体験教室をほぼ毎日開催。
苔テラリウムの作品は、鎌倉産品推奨委員会の「かまくら推奨品」に認定していただきました。
そんな形で、ちょっとずつ、「鎌倉苔化計画」を進めています。
苔庭施工管理
鎌倉各所で、苔庭の施工・管理を行っています。
苔庭を作ろうと思っても、さまざまな障害が立ちはだかるのが普通です。
猫やモグラ、鳥などの鳥獣にやられてしまったり
ちょっとした物理的な力で飛ばされてしまったり
雑草やゼニゴケ類がはびこってしまったり
そもそも環境が合わなければ定着しません。
環境に合わせた苔の選定と適切な施工・管理が必要になりますが、
体系的なノウハウはほとんど知られていません。
苔むすびでは独自の方法を開発し、これを実証するためさまざまな場所で施工を行っています。
施工・管理法は10年単位で経過を見る必要がありますが、
現在のところ、とてもよい結果が出ています。
-
各環境に適した苔を植栽する必要があります。
貼るだけでは崩壊していくので、施工には工夫が必要です。 -
植栽したオオシッポゴケ。
有用なこの苔も資源の枯渇が進んでいます。
持続可能な利用ができるよう生産プロジェクトも進めています。 -
店内に施工したミズゴケの湿原型植栽。
地球環境にとっても大切な役割をもつ植物です。
長期の経過観察をするとともに、さまざまな種類で実験しています。 -
普通に苔を植え付けると綺麗になり過ぎてしまうため、
その場に自生しているかのような雰囲気に植栽しました。
綺麗に作るよりも難しいです。
持続可能な苔の生産協力
苔生産の仕組みづくり
苔は資源です。
山に無限にあるように感じる苔も、乱獲すれば減少していきます。
せっかく人々に「癒し」を提供する苔も、それが自然界からの搾取から成り立っているのでは、意味がありません。
実際に、自生量が大きく減少し、供給が困難になってしまった有用な苔もあります。
他の農作物と同じように、「生産する」という仕組み作りが、まさに今必要になっています。
苔むすびは、しっかりとした技術で生産活動を行なっている生産者さんと、新規に就農される生産者さんとを結び、
技術や情報共有、よりよいかたちでの苔の産業化のための仕組みづくりを進めています。
苔の再利用
テラリウムに使用する苔は主に植物体の上部だけです。苔の枯れた部分、下の部分、土と混ざった部位については、基本的に使用せず、廃棄されるのが普通です。本来であれば植物体全体を使用したいところですが、こういった部位は虫や菌の発生源となるため、品質保証上、残念ながら使用することが困難です。例えばヒノキゴケであれば、使用しない部位が半分以上を占めます。
しかしながら、実はこの廃棄される部分は「苔の種」として栽培で再使用することができます。
苔むすびでは、ささやかですが、こういった苔の廃棄される部分を回収し、生産者に送ることで、単純に廃棄物を減らすだけでなく、再生産を促進する活動を行っています。
緑化技術開発
屋上をはじめとした緑化に苔を利用する研究を行っています。
苔を用いた屋上緑化というと、スナゴケを使用した方法がこれまで用いられてきましたが、
この方法は手軽に施工できる一方で、まだまだ課題も多いと思っています。
苔むすびではそれとは全く異なる方法で、意義ある緑化ができるのではないか、と考えています。
新しい苔の緑化法を用いることで、世界中の都市環境を変えるようなことができるかもしれません。
長期テーマにはなりますが、そんな夢を持ちながら、現在実証実験を進めています。