苔むすび

苔にも肥料が必要という話

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苔を育てる際に、一般的には肥料は必要ないと言われることが多いです。

確かに、基本的に苔は貧栄養(栄養の少ない環境)

で育つことのできる植物ですし、

屋外で育っている苔も肥料なんて与えなくても

元気に育っているように見えます。

 

ただ、苔テラリウムを育てていると、

だんだんと苔の葉の色が薄くなってきたり、

あるいは新芽が出てこなくなったり、

といったことは、

1-2年育てていると誰しも感じてくると思います。

 

苔テラリウムは常に湿度たっぷりで空気の動きもない、

自然界と比べればとても特殊な環境です。

特に密閉性が高くなるほど、苔が徒長したり、

さまざまなおかしなことが起こるので、

まあ、葉の色が薄くなったり新芽が出てこなくなるのも

テラリウムの特殊な環境のせいなのかな?

と漠然と思っていた時期もありました。

 

ですが、どうもそれだけではなく、

養分的な要素も影響している、

というのが今の考えです。

 

さて、以下に書くのはあくまで私の妄想の範囲なので、

特に裏付けるデータ等があるわけではないので、ご注意くださいね。

 

 

生きている以上必ず養分が必要

 

当然ですが、苔も生き物である以上、

必ず養分は必要です。

 

植物が生きていく上では、

窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)、カルシウム(Ca)、酸素(O)、水素(H)、炭素(C)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)

合計17の要素が必須になります。

 

貧栄養環境で生きられる苔とはいえ、

植物である以上あくまでこれらが全くなくては生きていけないのです。

 

 

苔と根っこのある植物の違い

 

通常、植物はこういった要素を土のなかから根っこを通して

積極的に獲得することができます。

場合によっては菌類と共生することで、

より効率的に獲得できる仕組みを発達させていたりします。

さらに獲得した養分は維管束を通って、

身体中に送り届けることができるのです。

 

一方で苔の場合、

根っこもなければ、維管束もないので、

おそらく土から養分を獲得する力がとても弱い。

だから体の表面から直接養分を吸収するような仕組みになっています。

 

 

苔はチリから養分をとっている?

 

屋外に1週間モノを置いておけば、けっこうチリが積もります。

まして森の中に置いておくと本当にいろんなものが常に降り注いています。

こういったチリには微量ですがさまざまな養分が含まれています。

 

たくさんの養分が必要な植物にとっては

大した量の養分ではないかもしれませんが、

少しの養分しか必要ない苔にとっては、

こういったチリに含まれる養分で事足り、

それで育っているのではないかと思います。

苔にとってはご飯が上からパラパラ降り注いでいるような状態に見えるのかもしれませんね。

 

 

テラリウムではご飯が降ってこない!

 

ところが、テラリウムでは話が違います。

ほぼ密閉された容器で育てる場合、

上からチリが降っててこないのです。

チリに頼っていた苔にとってはこれは大変なことで、

必要な養分が獲得できなくなってしまいます。

 

 

テラリウムでは肥料が必要なワケ

 

そうすると、やはり

人為的に肥料をあげる必要があるよね、

ということになるのです。

ただ、もちろん本来「チリ」でまかなわれていたレベルの養分なので、

たくさんは必要ありません。

必要以上に与えるとかえって元気をなくしてしまう可能性があります。

 

 

肥料を与えるとどうなる?

 

最初に書いた通り、苔テラリウムを育てていると、

だんだんと苔の葉の色が薄くなってきたり、

あるいは新芽が出てこなくなったりといったことが見られます。

これを全て養分不足が原因というわけではないと思っていますが、

肥料をあげることによって改善することもあります。

 

 

肥料のあげるとヒノキゴケの新芽が出やすくなる

 

例えば、一番わかりやすい例が、ヒノキゴケです。

ヒノキゴケは茎葉が伸び続けるタイプではなく、

一定まで伸びたもの(親)が枯れては、

脇から新しい茎葉(子)が出てきて、

という感じで、茎葉を更新しながら成長します。

 

ところが、

テラリウムではこういった新芽が徐々に出にくくなっていきます。

 

親の方も永遠に生きているわけではないので、

次の世代(子)が育たないと、徐々に衰退していきます。

結果、2年以上経つと、貧弱になり、

生きてるんだか死んでるんだかわかないような状態になる場合が多いのです。

 

また、葉の色合いも徐々に緑色が薄くなってしまいます。

 

ここで、液体肥料を適度に与えてあげると、

新芽の発生が促されます。

3年以上経っても、新芽がしっかり出て、

世代交代していくことを確認しています。

また、葉の色がある程度濃くなることも確認できました。

 

 

必要な肥料の量は?

 

どのタイミングで、どれくらいの間隔で、

というのはまだはっきりとはわかりませんが、

半年に一度程度与えるだけで十分な気がしています。

肥料の検証はまだいろいろ試している最中ではありますが、

私は園芸屋さんならどこにでも売っている、

「花工場」を5000倍に希釈して霧吹きをしています。

あまりあげすぎると藻が生えてきたり、

ということも起こりやすくなるでしょうから、

あげすぎない程度がよいと思います。

 

 

肥料のあげ方

 

普通の植物の場合、液肥にしろ、固形肥料にしろ、

土に与えるのが普通だと思いますが、

苔の場合は土ではなく、

葉や茎に直接かけてあげるのがよいと思います。

 

先にも少し書きましたが、

通常植物は根から水や養分の多くを積極的に吸収し、

身体中にこれを送り届けることができますが、

苔は根や維管束がないため、土から成長点に養分を送り届ける、

というのがすこぶる苦手だと考えられます。

(維管束は水や養分を身体中に届ける

「道路」や「血管」のようなものと考えてください)。

 

そうすると土の中に養分を与えても効果が出にくいことになります。

それに加え、テラリウムの土に養分を与えると、藻が生えやすくなる、

という点も注意が必要です。

 

よほどでない限り藻が悪さをすることはないですが、

やはり美観や匂いを損なうので、生えないようにしたいものです。

それを踏まえると、

苔の部分に霧吹きださっとあげるのが良いのかなと考えています。

 

 

いかがでしたか?

苔テラリウムはまだまだわからないことがたくさんあります。

そんな中で少しずつ知見を増やしていくのも苔テラリウムの楽しさだと思います。

 

肥料についてはまた知見がたまってきたら紹介したいと思います。

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